散華の麗人
ぐい、と腕を引き寄せて景之を抱きしめた。
「ゆきちゃん♪会いたかったわぁ~!」
「離せ。」
冷静に言う景之は眉間にしわを寄せる。
「何年ぶりかの再会なのにつれないわねぇ。」
「今更何しに来た。大体、何故、俺の居場所を知った。」
「ん?ナイショ♪」
女はにっこり笑う。
「こいつは……このひとは誰だ?」
辻丸は思わず女に畏まる。
「私は良寧。ゆきちゃんの奥さんです♪」
「黙れ。」
景之は拳で良寧の鳩尾を殴った。
「こいつは女装趣味の元八倉家研究員だ。」
「ちがいますぅ~!立派な女ですぅ~!!」
「信じられるか。そして、貴様は俺の妻ではない。」
「胸もあります!立派な女です!!」
無表情の景之に膨れっ面する良寧を辻丸はまじまじと見ている。
(こいつのどこがいいんだ?)
気が知れないという表情だ。
「そりゃあ、大きくはないですが。」
しょんぼりして良寧は俯く。
「ゆきちゃんの娘さん達にもに負けてますし……みんな、大きいんですもの。」
「ばっ!馬鹿、変な事を言うな!」
景之は湯呑を投げつけた。
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