散華の麗人
座敷牢で伊井薫は目を覚ました。
(夢……)
昔の夢。
あのひとに会った夢。
「もう少し、見ていたかったのに。」
その言葉は誰も聞いていない。
見張りの男は興味がなさそうにしている。
(思えば、あの一目惚れが全ての始まりだったのかもね。)
遊郭でつまらない人生を過ごすだけだった。
籠の鳥も同然な自分を籠の外へ出してくれた。
心から愛し合う喜びを教えてくれた。
(それを壊してしまった私は最低ね。)
だから、憎まれていい。
この愛は狂ってしまっている。
この愛は最早、彼には届かない。
目を閉ざせば、深い闇。
落ちていくように再び眠りに就いた。
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