君だけの天使になる




 春香とやっと会話ができたのに。
 いろいろ話せると思っていたのに。


 ...神様ひでぇよ。


 俺達はいつでも引き裂かれてばっかで。
 少しでも、夢の中だけでも春香と
 出会えたことは嬉しかった。


 会えたから、余計にまた話したくなる。
 悲しくなる。空しくなる。


 
 春香と話をしたのは、それっきり。
 俺が名前を呼ぶと、

 まぶしい春香の顔をまたこの目で
 見られて


 安心した

 嬉しかった

 悲しかった

 切なくなった。

 この手で抱きしめられればいいのに、
 って思った。


 だけど、俺はもう天使だ。
 春香だけの天使になるって決めた
 から、


 心を鬼にしてでも春香を独り占め
 しようとか思っちゃいけない。


 

 目を閉じて、春香に聞いてみる。
 もしかしたら、

 今さっきと同じように
 答えてくれるかもしれない。



 
 春香。


 お前の願いは何??




 すると、ちゃんと返ってきた。




“私はただ...幸せになりたいだけなの”



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