君だけの天使になる




「そう?なら、いいんだけど...じゃ、 
 心が静まったら、後から来てね―――」


 ちょ、杉山っ――――

 
 手を杉山に伸ばした時だった。
 一瞬、何がなんだか分からなくなって


 え?


 心の中で声をだした。何かがおかしい。
 手が、足が、顔が、
 俺は生きている。

 死んだはずなのに。


 

 手が、温かい。
 これは、なんだ?

 
 神様がくれた最後のチャンスなのか?



 足が、勝手に動く。
 分からない。だけど―――


 窓の外をみている春香を後ろから
 優しくそっと抱きしめた。



「えっ!?何杉山君っやめて――」


「春香」




 やっと、






 これで春香を抱きしめられた。




 俺が名前を言うと、春香はすっかり
 おとなしくなった。


 春香の体温、

 春香の匂い

 春香の...肌。



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