君だけの天使になる
*さよなら




 ずっと触れたかった。
 ずっとこうして抱きしめたかった。



「...白ちゃん、なの...?」


 っ!!何をしてるんだ俺はっ!!
 俺は春香の天使になるって決めてた
 じゃないか!


 ふっと後ろに離れると、気づいた。
 俺は杉山の体に入ってたんだ。


 だけど今度は―――...


 教室の近くに散らばっていた白い
 ぬいぐるみの中に入ってしまって
 ぴくっと体が動く。



「――――っ...なんだ?今なにが起こった?」



 な、なんっじゃこりゃああああっっ!!
 お、俺今度はぬいぐるみの中に入っ
 ちゃったのかっっ?!


「っ白ちゃん、なんだね...?」


「あ...」


「白ちゃんっっ!!」



 がばっとぬいぐるみのまま抱き寄せられて
 いる俺。


 春香の甘い香り、
 柔らかい、胸元。


「ぐ...ぐるじっ...」


「ご、ごめんっつ――――!!」


 
 今にも泣きそうな春香を俺が見つめて
 春香はぬいぐるみになった俺を見つめ

 
 
「....おかえりっ...」


 頬に涙を流しながら、最高の笑顔で
 俺に言った。


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