恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



こんな事なら、みさと飲みに行けば良かった……


本当は約束があったわけではなくて。
仕事上がりに、会えたらなって


会社員の彼とは休みが合わず、すれ違いが続いていた。
私達サービス業の休日は、基本平日だから。


残業で遅くなる、との返信に溜め息も深くなる。


付き合い始めて半年、早くも倦怠期のような気持ちになっていた。
そんな自分を修復したくて足掻いてみるも、うまく行かない。



今の彼と付きあう前、好きな人がいた。
けれど、何もしないまま諦めた。


彼と私の親友が、仲良くなってしまったからだ。
たまに三人で会うこともある。


特にいちゃつく訳でもないのに、言うならば、阿吽の呼吸のような。
同じ空気を纏う二人に割いる気にはなれなかった。



何も、言えなくなった。



恋人はいらないという彼女
自分は尻軽だと笑うのに、その顔はいっそ清々しいほどで。


世間一般で言えば、彼女は誰の目にも尻軽で
だけど、彼女の中であった葛藤の結果であることを知っている。


軽々しいものではないと知っているから、気安く好きと言わなくなったのだ。


想いが叶わないから、別の人と付き合った私よりも
彼女はずっと、まっすぐだ。

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