恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
もごもごと口を動かしていたら、向い隣のアパレルのお姉さんと目が合った。
そして失笑、後、逸らされる。


……やっぱ悪目立ちしてるじゃん。
抗議の目を向けると、彼は片肘で頬杖をついたまま食べ進めていて視線すら合わない。



「…肘ついて食べるほうが行儀悪いよーだ。恵美が居たら絶対怒られてるよ」



悔し紛れにそう言った。



「あ、そういや昨日怒られた」

「昨日?恵美休みだったじゃん?」

「うん、晩飯一緒に食いに行ったから」

「……へぇー」



休みの日にわざわざ。
恵美が出てきて?


口にはしなかったけど浮かんだ言葉と、広がるもやもやに戸惑った。


…今。
なんだか、酷く了見の狭い何かが、湧いたような。


多分、誰から聞いても声音の違った私を不思議に思ってか、彼が顔を上げた。
そんな自分に私も対処に困り、目を合わせたままぱちぱちと瞬いた。



「ヤキモチ妬いた?」



にっと口の端をひく、その表情に。


心臓がどくんと跳ねた。
図星、だからか?
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