恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「そうだよ。ずるいじゃん、私ずっと恵美に避けられてんのに」

「ははっ。連日ふられて売場に戻ってくるお前みてて笑えた。背後に影背負って」



ひどいー、って唇を尖らせてそう言った。
彼の口にしたヤキモチの方向が私が言ったのと同じだった様でほっとする。


そうだ。
今まで気にもならなかったのに。


そんなわけはない。


私は早くその場から離れたくなって、残りのご飯を素早く口に入れた。
咀嚼もそこそこに、じゃあ、と言って席を立とうとした時。



「今日の帰り、出口で待ち合わせな」

「……は?」



腰を上げかけていたのが、空中でぴた、と止まった。



「だから、出口で。お前早番だろ。俺も」



何か変なこと言ったか?
って聞き返されそうな、当然の空気をまとってそう言う。



「…いやいや、なんで?」



例の嫌がらせが予測通り笹倉ファンだったりしたら、私ますます恨み買うんだけど。


こうしてお昼二人で食べてバカップルごっこやったってことだけでも、目立ってんのに。


この間、藤井さんとラーメン屋に行った翌日にもまた写真が入れられていた。
それは、ラーメン屋から車に行く途中、藤井さんと並んで歩いているところだった。


どこで見られてるか、わかったもんじゃない。
痛くも痒くもないが、気味が悪いのは確かだった。

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