恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



……変だ。


私は、電車の中からずっと繋いだままの手と横を歩く笹倉の顔を交互に見る。
何を聞いても躱されるので、もう質問するのも諦めたけど。


駅を出てまっすぐ帰ろうとしたら、笹倉がスーパーに寄って行こうと言う。
で、繋いだ手の反対の手に一つずつ。


何、この。
如何にも、これからおうちデートですよ感満載の、絵面。


なんで今更、こんなことしたがるのか。


笹倉の顔を見れば、思い通りにやって楽しいのかと思えば、全然そんな風に見えなくて、電車あたりからずっとぼんやりしてたり、今なんかはにこりともしない。


まぁ…何か考えてんだろう。
なんとなく察しはついていて。
笹倉が、無意味なことするようにも思えないし。


だから、黙って笹倉の言う通りにスーパーに寄った。


通りは既に、夕闇迫るほの暗さ。
もうじき街灯も付き始める頃。


こういう時間帯って、人の喧騒がいつもよりやけに遠くに聞こえたりして
意味もなく心細くなる。


いつもの三叉路が目の前で、ここでいいよと口を開こうとしたら、彼が先に言った。


「アパート前まで送るから」

「…まだ明るいし、大丈夫だけど?」


けれど返事はなくて、私は結局黙って、また従うことにする。

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