恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



かちんと来た。


こっちは昨日から凹んだりイライラしたり、もうキャパオーバーだ。
俺の質問に笑う彼女の綺麗な顔は、今は嫌味にしか見えない。


「カッコ悪いのはわかってるよ」

「そうね、今の瑛人君ほんとに見るに耐えない」


澄ました顔で、いちごミルクにストローを差して飲み始める。
怯んでる暇はない。小休憩の時間は30分しかないんだ。


移動の時間も考えて、話ができるのは20分程度だ。


「変なんだよ。何があんの」

「変って?黙って引っ越したこと?」

「そうじゃなくて」


いやそれもなんだけど。
コーヒーを一口飲んで、口を潤した。


「急だろ。人の意見にあっちふらふら、こっちふらふらで、曖昧な宙ぶらりんが好みで、今までだったら話がしたいって言われたら流れてきた筈なんだよ」

「ちょ…っと、酷くない」


恵美ちゃんは苦笑いしたが、妙な違和感が拭えない。



< 283 / 398 >

この作品をシェア

pagetop