恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「ほんとにこれでいいのって、みさにも何度も聞いた。瑛人君にも聞いたよね。でもその時は何にも言わなかったじゃない。いざ目の前から居なくなって、急に惜しくなった?」


「それは、否定しねぇ」


顔も見れなくなるまで、気付けなかったのは、事実だ。


「そんな軽々しい気持ちなら、絶対教えない。私が思ってた形じゃなかったけど、漸くみさが出した答えを邪魔できないもん」


そう言うと、下唇を噛み締めて此方を睨む。
けど、俺だってもう引く気はなかった。


軽々しいだと。
勝手に、決めんな。


「俺の気持ちの重みは狭山に決めてもらう。だから、どこにいんのか教えろよ」


別に、凄むつもりはなかったけど。

ここで引いたらもう会えない、という焦りからか。
きっと、余り女に向けたことのない、声音と目つきだったろうと思う。


しかし。


「凄めばびびると思ったの? 最悪。会ってどうするの。それをちゃんと言って」


静かながら彼女の剣幕はそれ以上で。


「だから、会って話を」

「何の話」


一ミリも引かない彼女に、怯まされたのは俺の方だった。


「だから」


俺は、頭を抱え込んで、深い溜息と共に吐き出した。


「会いたい。どこにいて何してんのか、心配で仕方ねぇ」


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