恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



親というものは本当にやかましい生き物だ。


昨日の引越し当日は父親に詰められ、今日は母親に病室で詰められる。
しかし、自分ももうすぐ親になるのだと思えば黙って話を聞くことにする。


父の言っていた、母親の方が受け入れ易いというのはそのとおりだったようで。


驚いてはいたが、相手や結婚について一人で産むということを告げるとすぐに質問は切り替わった。


「予定日は?つわりは大丈夫?どこで産むの?仕事はどうするの?」


矢継ぎ早に尋ねてきて、すでに子供を含めた先の話へと気が向いていて、
それを見た父が


「ほらな。こういうことには女親のが肝が座ってるだろ」


と言い、私は何度も頷いた。
母親という生き物が少しわかった気がした。


「私早く良くなって孫見ないと、みぃちゃん仕事できないわよね」


孫ができる、という事実は母の精神状態を前向きにさせたようで。
完治に向けて良い手助けになりそうで幸いだった。


「保育園探すつもりだけどね。ちゃんとアル中も直さないと、赤ちゃん抱っこさせないよ」


少々きついかもしれないが。
そう脅すと、若干涙目になりながらもぎゅっと口を結んで頷いた。



< 288 / 398 >

この作品をシェア

pagetop