恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
だからといって、さすがにやっぱり買わなきゃ良かったなどと余計な一言は言わなかったけれど。



「重ねづけできるって店のお姉さんいってたろ」

「え、そうだっけ」

「……どんだけ興味なかったの?」



その話って多分、デザイン選びに行ったときのでしょうよ。


笹倉と販売のお姉さんのテンションが高すぎて、ついていけなかった私は結局最後にどのデザイン選んだか覚えていなかった。


でも、まぁそれなら。
出かけるときは使ったり。


そんなまめなことを私がするかどうかだが。


暫く指輪をつけた手を、照明の下に翳して眺める。


指輪のケースをクローゼットに仕舞いにいった笹倉が、後ろから抱きついてきて、頭の上に顎を乗せた。



「あ。やっぱりバレンタインは無し。俺仕事だし。15日は?」

「私一人で出してくるけど?」



届け出すだけだしね。



「…なぁ。式しないんだし、それくらい一緒にいかね?」



やけに素直に甘えた声だったので、上を向いたら逆さまのキスが降りてくる。
ちゅ、と一瞬触れるだけ。


そんな声で、そんなこと言われて、そんなことされたら。



「…じゃあ、15日。出しにいって、デートでもする?」



たまには素直に、言うこと聞こうって気になった。

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