恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
真上にある笹倉の顔が。


顔が、甘い。



「いいよ。どこ行きたい?」



言いながら、首元に回した手の指がすりすりと顎の下辺りを撫でる。
そんなに私は猫っぽいか。



「笹倉、また甘そうな顔になってる」

「…食べてみる?」

「あ、今度はエロい顔」



頭の中で、猫がチョコレートをペロペロ舐める想像図。
チョコレートはサルの顔型だったりして。


そんなくだらない妄想なのに、どういうわけかムラっときた。


よし。イタダキマス。


彼の後頭部に手を回し、引き寄せて口づけた。
するりと舌先を侵入させてひと混ぜしてから少し離れる。



「えっちする?」

「え。おなかへーき?」

「ゆっくりしてくれたらへーき」



あ、完全にエロ猿の顔になった。
やめれ、それ。


やっぱやめたとか、意地悪したくなる。



「がんばる」



どっちの「頑張る」だ、それ。


そわそわと落ち着き無くなった手がセーターの裾から入り込んで、さらりとお腹の素肌に触れた。


一度彼の手を躱して椅子から立ち上がると、正面から首に絡んで唇の距離を埋める。


気紛れに、自分から誘う夜もたまにはいい。
深くなった口づけの息苦しさから、彼の首に爪を立てた。


何せ私は、猫らしいから。




◇スマホ3 end.


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