俺のこと好きになるの禁止だから!!




「ね?あたしには?」




「ね~よ。お前さっきからなんか飲んでただろ?」




「そりゃそうだけどさ~」




「そういや、何でお前ここにいんだ?」




「ひっど~い。私は唯がオオカミに襲われないか心配で…」




「誰がオオカミだ。誰が!!」




悔しいけど…このやり取りすごく似合ってる気がするな。




「せっかく、唯と勉強して演技の練習しようと思ってたのに…ぶつぶつ…」




「な~に?神・野・ク・ン。お邪魔だったかなぁ~」



「うるせぇ!どっかいけ!」




私の乾いた口には、苦みが香る。




この前デートしたのに。

ツバサとの距離がすごく遠くに感じた。
目の前にはすごく自然なツバサがいる気がして
彼の姿を目で追っていた。




「何見てんだよ」




ツバサに言われ、我に返る。




「い、いや、何でも…。」




「そうか?」




「お前、教室は暑いんだからちゃんと水分補給しろよ!」




「あ、うん。ありがと。」




ツバサからもらったペットボトルのふたを開けた。



フルーツ系の甘い香りがする。



「はぁ…」



なんだろな。この気持ち。




「もしかして…お邪魔だったかな?私?」




「へ……?」




あ、ヒカリ?



「ううん。そんなことないよ!ヒカリのおかげで演劇練習できるんだもん!」




私は精一杯の笑顔で自分の気持ちを覆い隠したんだ。



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