俺のこと好きになるの禁止だから!!




髪をくしゃくしゃさせながら私はパンを選んだ。




「どしたの?」



と、出口さん。



「唯ちゃん、食い意地張ってるから悩んでるんだよ~」




「確かに!!どれも美味しそうだから、悩むよね~」




「ははは……」



違うけど、まいっか。


それから私はパンを2つ選んだ。

カスタードクリームを挟んでいるパンケーキにホウレンソウ入りのサンドウィッチ。

そしてコーヒー。



席に着き3人でおしゃべりを始める。


夕方にもなると、

ちょっとした休憩のつもりで寄った店も───

そろそろ大人びた表情を露わにし、

店の中はシーンとした雰囲気に包まれていた。



「はぁ~美味しかったぁ~」



体をぐんっと伸ばすヒカリ。


「そうだね」


と、出口さん。



「………。」



「どしたの?秋野さん?」



「あ……うん……。」



昼間公行と働いた太陽も終業時間になると足早に家に帰ってしまったようで

コーヒーの温かみが私のすさんだ心に染み渡るようになっていた。


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