俺のこと好きになるの禁止だから!!
「い、いいよ!」
「わかった。始めるぞ…お前は寝てればいいから。」
真剣な眼差しで彼は言い、私の手をぎゅっと握った。
『…ロ、ロミオ…』
嘆きにも似た声が私の耳に触れる。
目の前には悲しそうに私を見つめる、ツバサがいた。
『ロミォォォ!何で、なんでなの!!起きて、目を覚まして!!』
目の前でジュリエットを演じる彼の顔は真剣そのもので…
ほんと、何でこんなに美しいんだ…
私は演技をすることも忘れ
彼の動きに、演じる声に
女性らしさに
酔いしれていた。
『その美しい口にもう触れることができないなんて…』
短剣らしきものを手に取り天に掲げる。
『私も、あなたを追うから勇気を頂戴・・・・。』
急に黙って、こっちに来たかと思うと私の顔まで近づいた。
え、そんなセリフ
な…っ、んんっ!?
その瞬間、ツバサの顔が目の前にあり、目が合った。
…私のファーストキス…
私キスされ…
てない。。。
キスされるんじゃないか?
そう思ったとたん、彼の唇はどんどん離れてゆく。
かろうじて守られた私の唇はなんだか乾いていて、
不安を覚えていた。
「…っ」
短剣を胸に刺し、
倒れこむツバサ。
私たちの演じる物語はここでおしまい。
…キス…。
………最悪。
…私、今キスしたいって思っちゃた。