シルティアの魔術師
「レオ殿下っ!」


エリスが青ざめた顔で殿下に駆け寄ります。


彼を抱き起こすと、その両目から血が流れ出ていました。


エリスが大木の方を睨みつけると、もうそれが動く事はありませんでした。
ーどうやら、今のが最後の力だったようです。



「痛い…痛いよ…!」


殿下が弱々しく声を上げます。


「殿下、すぐにシルティアにお連れいたします。」


エリスは四精霊を森に戻し、すぐに馬を召還すると、殿下を抱きかかえながら森の外へと駆けて行きました。
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