君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
東野さんは寂しくないのかな。

ふと、そんな考えが浮かんだ。


まぁ、でも男と女は違うわよね。現に翔ちゃんだってー...。
自立したいって思ってたんだから。


「......」


...ん?なに、この匂い。


「...やばっ!」


考え事をしてて、火をつけっぱなしだったの忘れていた!

慌てて火を止めるが、フライパンの蓋を開けると、頑張って煮詰めていたデミソースは黒焦げ。


「最悪...」


ガックリ項垂れてしまった。

辺りを見ると煙が充満していた。


「換気扇だけじゃダメかな?」


リビングへと行くと、こっちの方まで焦げ臭い匂いが舞っていた。


「寒いけど窓開けよう」


窓を開けると、一気に強い風が部屋いっぱいに吹き込んでくる。
カーテンは大きく舞い、そして棚に置いてあった本や雑誌のページは一気に捲られる。


そして綺麗にまとめて置かれていた書類達が、宙を舞った。


慌てて窓を閉めるも、たった数秒のうちに起きた惨劇に大きな溜め息が漏れる。


「やっちゃった...」


あんなに綺麗だった部屋が一変してしまった。

少しの間、放心状態。


「って!ボーッとしてないで、早く片付けないと!」


こんな状態を見られたら怒られる!

慌てて散らばった書類をかき集める。


そして元の場所に戻し、本や雑誌を閉じる。


「あれ、一冊だけ落ちちゃったんだ」


ページ数の少ないビジネス雑誌は風に襲われ、落ちてしまっていた。


拾おうとしゃがみ込んだ時、棚の端に置かれたものに目が止まる。


「...なにかしら」


何冊も重ねられている、アルバムみたいなもの。


ちょっと待って。この形、この薄さって言ったら...。


悪いと思いつつも、手は伸びてしまい広げると、中には綺麗な女性の着物姿の写真があった。


やっぱり。
< 301 / 411 >

この作品をシェア

pagetop