2LDKの元!?カレ

外に出でると心地よい風が私の頬をかすめ、秋色に染まった街路樹を揺らした。

私はカバンを肩にかけると、足早に駅へと向かう。

時計は午後七時を回った所。今からまた、編集部に戻るつもりだ。

「小松チーフやっと戻ってきたんですね。帰社時間が未定だと困るんですよね」

編集部のドアを開けるとすぐ、迷惑そうな表情を浮かべた真田さんが私の元へ駆け寄ってくる。

「ごめんね、遅くなって」
「あの、これなんですけど……湘南のカフェの写真。取り直そうかと思ってるんですけど、どう思います?」
「……真田さんに任せるよ。必要だと思うなら、追加取材してきたらどうだろう」
「分かりました。ありがとうございます」

朝カフェのムック本は、真田さんに引き継いだ。

私は編集長の指示通り彼女のアドバイザー的な立場でいるのだが、あまりいい関係とは言えない。

しかし、仕事をする上での不便ではないのだ。

友達になる必要はないのだからこれでいい。そう自分に言い聞かせている。

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