2LDKの元!?カレ
「戻りました」
取材を終えて編集部に戻ると、若い部員達が数人集まっている。私はその集団を後ろから覗いて声を掛けた。
「何してるの?」
「小松チーフ、おかえりなさい。今、ウエディング特集のバックナンバー探してるんですけど……全部見つけられなくて困ってるんです」
「ああ、それなら去年の十月号とおととしの六月号、それと三年前の六月号にもあったはずだけど」
私は書棚から思い当たるバックナンバーを引き出して渡した。
「ありがとうございます、探してみます。ついでにアドバイス頂きたいものがあるんですけど」
「うん、いいよ」
もうすぐ企画会議だ。プレゼン準備を始めている部員も多い。
そんな彼女たちにつられて、ついついつられて終電間際まで居残ってしまいそうになるのだが、私はそうすることをやめたのだ。
今までの私は忙しいことが当たり前で、めいっぱい仕事を抱えていないと不安だった。本当はそうじゃないということくらい分かっていたのに。
だから、大切な人を失った。二人も。ひとりになって、ようやく重い腰を上げた。
西野くんがそうしていたように、仕事と生活とを上手に分けることにした。
メールも打ち合わせも本当に必要なもの以外は、平日の日中にできるようにコントロールする。
すると聡がそうしていたように、家事をする時間を作ることができた。
自立した女になる。私は聡にそう言ったけど、少しは近づくことができているだろうか。