オクターブ ~縮まるキョリ~
*序章*


一瞬の静寂。


そして、直後に沸き起こる拍手と歓声。


私は、手のひらが赤くなるのも構わずに、ひたすら賞賛の拍手を送り続けた。
自分の心が大きく動かされるのを強く感じていた。


ここ、東城高校のホールは、全校生徒の感動で満ち溢れていた。
私の前の席のクラスメイト達は、すごいすごいと興奮して騒いでいたが、先生も全くそれを注意しない。
先生達も、きっと心を奪われたのだろう。


「私も来年、あんな風になれるのかな…



舞台に立つ、誇らしげな先輩達の姿に自分を重ねてみただけで、鳥肌が立つようだった。


私もあんな風に輝いてみたい。
きっと、そうなれる。


胸の内から、なんだかワクワクしたものが膨らんでいく感覚がした。

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