Wonderful DaysⅠ



「そっか。私は大丈夫だから、お仕事頑張ってね!」


微笑んで送り出してくれる我が妹に、後ろ髪を引かれる思いでSPの車に乗り込む。


「気を付けて帰るんだよ?」


後部座席の窓を開けて声を掛ければ


「気を付けるも何も、木田さんに家の玄関まで送ってもらうんだもの。心配は要らないでしょ」


返ってきた言葉に


「それもそうだな」


苦笑いを浮かべて手を振ると、静かに動き出した車。

後ろを向くと、見送ってくれているマリアの姿がどんどん小さくなって見えなくなる。

「ハァー」と溜め息を吐いた後、前に向き直す。


───今度は、どんな難題を押し付けるつもりなんだ、大王様は・・・


これから会う人物との事を考えると気が滅入ってしまう。

憂鬱な気分を払拭したくて瞼を閉じると、ホテルに到着する迄さっきのマリアの笑顔と夜景を思い出していた───


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