Wonderful DaysⅠ
「え?随分、急だね?」
いつもなら、前日迄には教えてくれるのに。
「朝の4時にマーク兄さんから電話が掛かってきてね……」
「ハァ────ッ」と盛大な溜め息を吐いてげんなりとした表情を浮かべる。
「いつもながら、仕事の鬼だねマークは」
そんな兄さんにデザートのパンナコッタを差し出す修さんは苦笑い。
「そっか……大変そうだけど頑張ってね、アル兄さん」
兄さんに声を掛ければ
「ありがとう。マリアと離れるのは心配だけど、キングからの命令には逆らえないからね……」
ヨヨヨと泣き真似をする兄さん。
心配してくれるのは嬉しいけれど、今生の別れじゃないんだから。
その後は食事をしながら談笑して、いつも通り私を学校の正門前まで送り届けてくれた兄さんは、そのまま空港へ直行した。