Wonderful DaysⅠ
魁さんの笑顔は、心臓に悪い。
今も繋がれている手から、心臓の音が伝わっているんじゃないかってくらいドキドキしている。
───かっこいいなぁ……
思わず魅入ってしまう。
今日の魁さんはラフな格好ではなく、ダークグレーのスーツに白シャツの襟元にはワインレッドの細身のネクタイ。
黒のロングコートを羽織っていて、キラキラとしたイルミネーションの光に照らされた魁さんは、見惚れてしまう程かっこいい。
───何処かに出掛けるつもりだったのかな?
人混みの中で立ち止まった私達を、通り過ぎる人がチラチラと見ながら通り過ぎて行くけれど、その視線の先は間違い無く魁さんに向いている。
中には魁さんに気付いた人が驚いた顔をして、ヒソヒソと話している人もいて……
ここら辺、一帯で有名過ぎる魁さんは何処に居ても目立つ。
───普段でも目立つのに、この格好は……
行き交う人の注目が集まる中、ふと顔を上げて横に視線を流した魁さんは一点を見つめて目を細めた。