Wonderful DaysⅠ


「ごちそうさまでした!」


お店を出てお礼を言えば「あぁ」と短い返事をして、私の手をとった魁さん。

再び繋がれた手に熱が集中する。


───そういえば…何で、手を繋いでくれるんだろう?


逸れないようにかな……

そんな事を考えていたら


「…マリア」


名前を呼ばれて、握られた手から視線を上げる。


「はい」


「お前の携帯番号教えろ」


「え?」


突然の発言に、魁さんの瞳をマジマジと見てしまう。


「番号。連絡取れなきゃ、あの店に行けないだろ?」


魁さんの言っている「あの店」って、さっきのスイーツのお店の事だよね?


「は、はいっ!」


元気良く返事をしたまでは良かったけれど、私……


「あ…自分の携帯の番号、知りません……」


修さんに渡されたばかりのスマホの番号なんて知らなかった。

せっかく、魁さんが言ってくれたのに!


< 390 / 757 >

この作品をシェア

pagetop