Wonderful DaysⅠ
取り敢えず、ボサボサの髪の毛を手櫛で梳いて少しでも直そうと努力してみる。
「少しは、マシになったかな……」
鏡に映る、あまり代わり栄えのしない自分の姿に溜め息を吐きながらお手洗いを出た。
「…あれ? 先生、何処行っちゃったの?」
廊下に出れば先生の姿は無く、キョロキョロと探してみたけれど、長い廊下はシーン…と静まり返っていた。
もしかして、行きはついて行くけど、帰りは一人で部屋に戻って来いって事だったのかな?
簡単な道順だったし、私一人でも戻れると思うけど……
「…………」
───私、どっちから来たんだっけ…?
普通の一軒家ならば、私でも簡単に部屋に戻れる筈だけど、魁さんの自宅は、その“普通の一軒家”とはかけ離れていて。
どっちを見ても、同じ景色が広がっていた。
同じ位置に花が飾ってあって、庭を眺める窓の位置も形も一緒。
きっと、建物自体が左右対称に造られたシンメトリーなんだ。
そして、この構造は方向音痴の私には有難くないモノで……
「こっちから、来たんだよね?」
多分、こっちだろうと部屋に向けて歩き出した。