Wonderful DaysⅠ
「まだ、熱が高い」
「そうかぁ…」
「まぁ…あと1、2日だろうな」
慧と言葉を交わしながらソファーに座れば、魁が読んでいた本が目に入る。
「…………」
魁の奴、学校の勉強をしているのかと思っていたら『経営学』の本なんて読んでいやがった。
そんな俺の視線に気づいた慧が
「ね? 魁君ってば、小難しい本読んでるだろ~?」
ティーカップに熱い紅茶を注ぎながら、げんなりした顔をする。
「それよりも、何日も学校休んでていいのかよ? 何で、親父さんも煌も魁に何も言わないんだよ」
先ほど思っていた疑問を口にすれば
「まぁ、学校には行った方がいいけど……
魁君の事を思えば、マリアちゃんと少しでも一緒に居たい気持ちもわかるからねぇ……
それに、魁君ちょこちょこ学校休んでるから親父も兄貴も気にしてないんじゃない?」
───ダメだろ、それ。
案外、お気楽に考えている結城一家。
紅茶を一口飲んで魁に視線を向ければ、ベッド脇の椅子に腰を掛けて彼女の額の濡れたタオルを取り替えるところで。
冷たいタオルをそっと額に乗せられたマリアちゃんが、ピクリと動いたのが視界に映ったと思ったら
「……ん……」
どうやら目を覚ましたようで、俺も立ち上がって近付こうとしたが、次の瞬間足を止めた。
「───マリア…?」
「────…う…君…?」
彼女の口から紡がれた言葉に、魁が息を止めて目を見開いたのがわかったから。