桜舞う
兄の訪問
以来、鈴姫は朝餉から夕餉まで全て侍女に混じりつくるようになった。元々料理は好きであるし侍女たちと話すのはとても楽しい。桜の木を見に行かない日以外はほとんど部屋にこもりがちであるし、そしてなにより吉辰と辰之介が美味しいと食べてくれることが嬉しかった。

「鈴は細い身体で以外と体力があるな。」

料理をするようになってから、吉辰に言われた言葉である。鈴姫はたとえ吉辰に寝かしてもらえない夜の次の日であっても朝餉は準備した。そして昼も夜も必ず。嫁入りしたばかりの頃に比べ、見違えるほどに生き生きと毎日を過ごした。

そんな中の出来事である。
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