小悪魔な彼
 
「え!え!?母さんっ!?」


あたしよりも、テンパっている颯太。

慌ててあたしから離れた。


「なんでだよっ」
「と、とりあえず挨拶っ、したほうがいいかも…」


あたしもテンパって、カミカミだ。
だけど今の状況がバレるわけにもいかない。


「颯太、帰ってるの?……あら、この靴……」


下から、颯太のお母さんらしき声が聞こえる。

あたしたちは、とりあえず部屋のカーテンを開けて、一緒に下へ降りることにした。


「母さん、今日クリスマスパーティーで遅くなるって言ってなかった?」
「あ、颯太。
 それがこの雨でしょ。ドタキャンする人が多くて、ちょっとだけお茶したら、帰ることにしたのよ」


そこにいたのは、颯太によく似た綺麗な人だった。

颯太を女装させたら、こうなりそう……。


「それよりも……もしかして彼女?」


颯太のお母さんは、あたしを見てにやにやとした。
 
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