小悪魔な彼
「っつーか、お前、意外と胸あんのな」
「なっ!さ、サイテー!!」
あまりにもデリカシーのない言葉に、思わずヘルメットを投げつけた。
「ったく、人がせっかく迎えに来てやったっていうのに……」
「あたしは別に……猛にぃに来てもらいたくなんか……」
「あ?」
「いえ、なんでもないです」
一睨みされ、思わず口を紡いだ。
あたしにとって、猛にぃは恐怖の対象でもあるから……。
「さ、家に入るか」
「……」
猛にぃは、自分の家かのように、さっさと家に入ってしまった。
いや、ここあたしの家なんですけど……。
と、心に思ったのは言うまでもない。