小悪魔な彼
 
「おはよー!」
「あ、香澄!もう体調は大丈夫なの?」
「うん!おかげさまで」


次の日になると、昨日の頭痛は嘘のように頭がすっきりとしていた。

昨日あった微熱ももうない。


「よかったねー!
 期末前に、悪くならなくて」

「わ…そういえば、もうすぐ期末テストか……。
 なんだか気分悪くなってきたかも……」

「おいおい」


「テスト」というワードを聞くと、頭が別の意味で痛くなる。

あたしは決して、成績がいいほうではない。
1年の時なんて、補習組の常習犯だ。


そんな補習を受けた1年の夏休み。
うだる暑さの中、赤点だった数学と英語の補習。

普段の授業は、いつも決まった先生だけど、補習の担当の先生はその日によって別の学年の先生も来る。


それが、あたしと三浦先生の出逢いだった。



(始めるぞー!席つけー)


出席簿を片手に、教室に入ってきた三浦先生。


もとから人気のある先生だったせいか、仲のいい生徒もいて、入るなり笑顔で接する。

そんな三浦先生の笑顔に、あたしは一瞬にして、三浦先生の虜になった。
 
< 47 / 416 >

この作品をシェア

pagetop