The side of Paradise ”最後に奪う者”
 
   *

今回は成介にまた行くのか?とは言わなかった。

次の月は最終週に週末を使ってやはり最低日数でNY行きが入っていた。

綺樹の携帯に電話をかけた。


「最悪の日に来るな」


盛大にため息をつかれた。


「次の日に一番大変な試験だ。
 時間取れない」


綺樹は髪を掻き揚げた。

わからないとはいえ、成介は嫌なときに予定を入れたものだ。


「食事だけでもどうですか?」

「普通、食事だけなんだ」


思わずやりかえす。


「すいません」

「別にいいけど」


その方向に最初に誘ったのは自分だ。
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