またね…
ピーンポーン…


久しぶりに聞くこのチャイム。



春休みもあと少し。

きっと春休みにはもうこの音は聞かないね。



…はい?



久しぶりに聞く先輩の声。


「先輩?美希だよ。」


…美希?ちょっと待ってて!!


ガチャっ




「先輩っっ!!」

「美希っっ!!」

ずーと会ってなかった分を2人は抱きしめ合って分かち合った。



「どこ行ってたんだよ?心配したじゃんか。」

先輩…

先輩に会え嬉しいよ。

でも、私はすぐ出なきゃいけないんだよ。



そんな事が私の目を濡らす。


「ごめんね。先輩…」

「うん。」




私達は何分もずっと抱きしめ合った。



私達は落ち着くと現実に戻ったかのように話を始めた。



「あのさ…私、話があるんだ…」

「どうしたの?」



このままの先輩ならずっと一緒にいたい。


でも、変わったときが怖いから…


だから…



「私達、少し距離を置こう。」


言ってしまったんだ…




これから何ヵ月になるかわからない…



会えなくなる…




「な、なんでだよ!?」



先輩は明らかに動揺していた。



「ごめんね。でもこの前みたいなのはもう嫌だよ。」
「ごめん。ごめんね。もうしないから。」



そんな先輩の“ごめん”なんていらない…


ただ私と暮らしたいから謝ってるだけ。


それくらいわかるよ。


「ごめんね…。先輩…。」


私だって一緒にいたいよ。

でも、それじゃダメなんだ。


私も強くならなくちゃいけないね。
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