契約妻ですが、とろとろに愛されてます
琉聖Side


柚葉が眠ると、電話をかけるために病室を出た。


携帯電話が使える区域に入ると数件電話をかけ、指示を出し終わると病室に戻る。


柚葉の病室はこの病院の中で一番豪華な部屋だ。いわゆる要人や大臣、トップ企業の会社重役クラスが入院する部屋。それだけにゆったりとしたソファや付添が眠れるようにベッドも置かれ、机とイス、シャワールームまで完備してある。ホテルのようには寛げないが、一般病棟よりは精神的な負担は少なくなるだろう。


桜木が病室に現れると、俺は着替える為にマンションへ戻る。桜木を呼んだのは俺がいない間に目を覚まして、誰もいなければ不安がるだろうと考えたからだ。


マンションに戻り、スーツからカジュアルな服装に着替え病室に戻った。柚葉は一度も目を覚まさなかったらしい。


時刻は十一時を過ぎている。このまま朝までぐっすり眠るといい。


桜木を帰宅させ、俺もベッドに横になる。だが、そんな時間に眠れるわけがない。考えることは山積みで、頭は冴えてしまっている。


起き上がると、ベッド横のイスに座わり眠っている柚葉を見守った。
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