契約妻ですが、とろとろに愛されてます
私は着替える為に小さなクローゼットに近づきハタと足が止めた。ベッドに腰をかけている琉聖さんは立ち上がる様子もなく私を見ている。


「琉聖さん、廊下に出ていてくださいっ」


「君の裸なら見ているだろう?」


琉聖さんは楽しそうな笑みを浮かべて言う。


「もうっ!恥ずかしいから、早く出てくださいっ」


琉聖さんの見ている前で着替えるのは恥ずかしい。笑いながら立ち上がってホッとしたのもつかの間、私の元へ近づいてきた。


「俺が着替えさせてやろうか?柚葉はただ立っているだけで」


琉聖さんの甘い微笑みにどう対応して良いのか困る。


「っ!、こ、子供じゃありませんっ!」


もうっ、顔が赤くなっているに違いない。そんな私の頭をポンポンと撫でるようにして離れて行った。


急いでクリーム色のアンサンブルに茶系のフレアスカートに着替えた。長くなった髪をブラシで梳かし唇にグロスだけ塗る。


私が廊下を出ると琉聖さんは壁に背を預けて立っていた。考え事をしているようで、ドアの開く音にも気づいていない。


もしかしてお仕事が忙しかったのかも……。


そう思うと、外に連れ出してもらうのも申し訳ない気持ちになる。


「琉聖さん……」


「ん?ああ、着替え終わった?」


私の声に琉聖さんが我に返る。


「もしかして、お仕事が?大丈夫ですか?」


「仕事は大丈夫だ 行こうか 何が食いたい?」


優しく微笑むと手を繋いで歩き始めた。
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