契約妻ですが、とろとろに愛されてます
就寝時刻になっても琉聖さんは姿を見せなかった。


どうしたのかな……琉聖さん 何かあったのかな……?今朝会ったけれど心配になる。まさか事故に……?


そう考えるとだんだん心配になってきた。


仕事の時は桜木さんが車を運転しているけど、プライベートの時は自分で運転している。でも時々、仕事でも自分で運転する時があるからわからない。


今日はどっちなんだろう……。


枕に頭をつけても眠りは訪れなかった。


どのくらい経っただろうか、静かにドアの軋む音がして廊下の明かりが漏れた。


琉聖さん!?


身体を起こすと、ビジネススーツに身を包んだ琉聖さんが入ってくる所だった。


「ゆず?」


琉聖さんの甘く聞こえる低音の声が静まり返った病室に響いた。


「まだ起きてたのか?」


起きている私に少し咎めるように聞こえる。まだ十時すぎなのだけど、私は寝ていなければいけない時刻。


「うん……眠れなくて……」


眠れない原因の琉聖さんが静かにベッドの端に腰をかけた。


「今日はどうだった?」


「麻奈と修二さんがお見舞いに来てくれたの」


琉聖の眼差しになんとなく照れてしまう。


「あぁ、見舞いに行ってくると言ってたな」
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