契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「それでね? あんみつを持って来てくれたの 琉聖さんに聞いたって」


私は満面の笑みを浮かべて説明する。


「そんなに喜ぶ所を見ると、本当に食べたかったらしいな?」


琉聖さんは苦笑いして、私の髪をゆっくり梳くように手を動かす。


「それもあったけれど……そうじゃなくて……私の好きな物を覚えていてくれたから嬉しかったの」


「ゆず……」


琉聖さんは私を抱きしめる。琉聖さんがいつもつけるフレグランスの匂いがふわっと香る。私は琉聖さんの胸に頭を預けて目を閉じる。額に唇がそっと当てられた次の瞬間、身体が離されて顔を覗き込まれる。


「っ!ゆず、熱があるじゃないか 看護師は知っているのか?」


琉聖さんは私から離れて体温、食事などが記されているボードを手にとって見る。


「夕方に37度か……」


「たいしたことないから……」


「早く横になるんだ 眠るんだ」


「はい……」


「目を閉じて」


優しく言われて私は素直に目を閉じた。


「眠るまで側に居るよ」


大きな手に包み込まれると安心感に眠りに就いた。


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