契約妻ですが、とろとろに愛されてます
早く会って話をしたい。


薬のせいで眠気に逆らえない。次に起きた時に琉聖さんが側に居ることを願って眠った。でも、目が覚めても琉聖さんの姿は部屋のどこにもなくて心が沈む。


私、夢を見ていたのかも……今朝目が覚めた時、琉聖さんがいてくれたのは私の願望が見た幻……?一緒に居たい気持ちが募る 私からは離れられない……でも、もう遅いかもしれない……。


そんなことを考えていると、看護師さんが呼びに来た。


検査の時間が来てしまった。やらなくてはならないけれど、骨髄検査は痛くて逃げたくなる。


車イスに乗せられ病室を後にした。看護師さんに車イスを押され進みながらも廊下で琉聖さんの姿を探してしまう。


******


血液検査と骨髄検査が終わり、ぐったりと車イスに身を沈めたまま病室に送られていく。


「大丈夫?眩暈がする?」


病室の前に来ると、車イスを押してくれる看護師さんが後ろから覗き込むようにして聞いてくる。


「大丈夫です、骨髄検査は嫌いで――」


その時、ドアが中から開かれた。驚いて見上げると琉聖さんが立っていた。


「あとは俺がやります」


琉聖さんは看護師さんに言うと、私の後ろに回って車イスを押した。病室の中ほどに行くと、車イスを止めて私を抱き上げベッドに降ろす。


「あ、ありがとう……」


涙腺が緩み、視界が歪み、急いで俯き手をやる。涙が溢れ出るのを止められない。


「ゆず」


ふんわりと抱きしめられ、私は琉聖さんの胸に顔を埋めた。


「検査が辛かったのか?」


腕に中で頭を横に振ると、髪を撫でていてくれた手は両頬にかかりそっと上を向かされた。


泣いて酷い顔をしている自分が嫌ですぐに逸らそうとした時、唇が優しく重ねられた。すぐに唇は離れ、頬にかかる髪を琉聖さんは指先で優しく撫でつけるように払ってくれる。


「顔色が悪い 横になるんだ」


私を横にさせようと手を貸してくれるけれど、その手に手を重ねた。


「ゆず?」


「琉聖さん……ちゃんと話がしたいの」


「話なら横になってでも出来るだろう?」


「でもっ」


大事な話を横になって話したくなかった。


「ゆず、ダメだ 言うことを聞いてくれ 今だって熱はあるんだろう?」


「……」


琉聖さんの真剣な顔を見て小さくため息を吐くと横になった。

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