契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「さすがに土曜日は混んでいるな」


海岸通沿いを走る琉聖さんの車がゆっくりと進む。


「運転大変でしょう ごめんなさい……」


「運転は苦じゃないよ むしろ好きだが……今はゆずを抱きしめたくてうずうずしている」


「また冗談で、はぐらかすんだから」


軽口を叩く琉聖さんに頬を膨らませる。私の顔を見て琉聖さんの顔がほころんだ。



琉聖Side


マンションを出たのが十時を過ぎていたせいで、すでに昼食の時間が過ぎている。


「腹が減っただろう?」


「大丈夫です ずっと座っているだけだし」


「もっとたくさん食べたほうがいいな」


肯定とも否定ともつかない柚葉の表情が気になった。さっきとは変わり、ぼんやりし、瞳に覇気がない気がする。


俺は不意打ちで柚葉の額に手を伸ばした。


「柚葉!熱があるじゃないか!」


熱があるとわかり過ぎるくらいに額は熱かった。


「なぜ言わない!?」


いつもより声を荒げた俺は近くのコンビニの駐車場へ車を停める。そしてもう一度額に手を置いた。


俺に気付かれてしまったせいか、頑張って背筋を伸ばしていた身体が小さく丸まった。


「気分は?眩暈は?」


「大丈夫……」


「病院へ行こう」


ここからだと二時間以上はかかるだろう。


「嫌、行きたくない……」


「……とにかく、引き返そう」


助手席を倒して眠りやすいように動かしてやる。そして、後部座席に置いていた自分のジャケットを柚葉の身体にかけると柚葉は目を閉じた。

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