契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「奥様が残念がっていました」


佳代子さんに言われて貴子さんとの約束を思い出した。


「そうだったわ!今日は貴子さんと約束が!」


今、何時かと時計を見る。まだお昼前だ。


貴子さんとの約束は二時だった。


だけど、佳代子さんの口調から私がケガをして病院に一泊したことは知られてしまっているようだ。


貴子さんとのお出かけを楽しみにしていた。貴子さんもそう思っていてくれているようで、昨日も電話をかけてきてくれた所だった。


私はバッグの中から携帯電話を取り出した。


『柚葉ちゃん!電話したりして大丈夫なの?』


すぐに出た貴子さんは心配の声をあげた。


「はい ご心配かけてすみません」


『いいのよ 大事にいたらなくて良かったわ』


「身体は大丈夫なので、出掛けられます」


『何を言っているの、今日はゆっくり身体を休めなきゃだめよ お買い物ならいつでもいけるわ』


「ありがとうございます また誘ってください」


貴子さんは約束して電話を切った。


琉聖さんがシャワーを浴びてジーンズとオフホワイトのシャツに着替えて入ってきた。


「どうした?」


表情を曇らせていたのがわかったのか、琉聖さんは私の隣に座ると声をかけてくれる。


「貴子さんとの約束を破っちゃった……初めての約束だったのに……」


気が滅入る私は隣に座った琉聖さんの肩に頭を預ける。


「私ってほんとバカ……」


私がボソッと呟くと、琉聖さんは肩を抱き寄せてくれる。


「お袋となんて、いつでも出掛けられるだろう?」


「ん……」


私の髪を梳く手をそっと掴むと自分の頬にあてた。

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