契約妻ですが、とろとろに愛されてます
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実家まで迎えに来てくれた琉聖さんは忙しそうで、昼食を食べると書斎で仕事を始めてしまった。


私は夕食までの時間、リビングのソファでミステリー小説を読んで過ごしていた。活字を追っていると、いつの間にか眠てしまっていたよう。


目を覚ますと、暖かい毛布が掛けられていた。掛けてくれるのは琉聖さんしかいない。忙しいのに気にしてくれたのが嬉しかった。



その夜、バスタイムをゆっくり過ごした私は書斎にいる琉聖さんの元へ行った。実家に一晩泊まっただけなのに、寂しくて側に居たかった。


書斎のドアはどんなに重要な仕事でもいつも開いていた。それは私が寂しくならないようと、琉聖さんの心配りから。


書斎に行くと琉聖さんは電話中だった。マルチリンガルの琉聖さんの会話はもはやどこの国の言葉か聞き取れないほど流暢。


私が入り口で足を止めたのを見ると電話をしながら「おいで」と手招きされたけれど、大事な電話中だと考えて私はその場に立ち待っていた。
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