契約妻ですが、とろとろに愛されてます
琉聖さんは電話が終わると、イスから立ち上がって私に近づいた。


「どうした?」


「電話中だったから……」


「俺は側に来て欲しかったな」


私の髪に手を伸ばした。髪の乾き具合を確かめているみたい。だけど、琉聖さんの指の動きに胸を高鳴らせてしまう。「薬は飲んだか?」と聞かれて、頷くのが精一杯。


「ゆず?どうした?」


何か言いたそうな私に琉聖さんは顔をよく見ようと覗き込む。


「ぁ……」


複雑な色味の瞳と目が合って、急いで目を逸らすと両頬を掌で囲まれじっと見つめられてしまう。


「ゆず、俺がどんなに我慢しているかわかっているのか?そんな顔をされたら……」


「どんな顔?こんな顔をしたら……」


先にお風呂に入った琉聖さんの紺色のガウンから覗く喉仏、喉元、男の色気とでも言うのだろうか、色っぽくて自分からキスをしたくなってしまう。大きく息を吸い込み、意を決すると自分から琉聖さんの唇に唇を重ねた。


「そんなキスをされたら、俺の自制心が崩れる」


私からしたキスはすぐに琉聖さんが主導権を握り、甘すぎるくらいのキスをしてくれる。


「自制心なんて……いらない」



琉聖さんの身体に胸を押し付けるように抱きついた。
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