契約妻ですが、とろとろに愛されてます
******


「五時に戻るから出かける支度をしておいて 体調が悪かったらパーティーに行かなくてもいいんだからな ここでゆっくり君と過ごしてもいい」


琉聖さんはまだ心配そうな顔をしている。


「大丈夫だよ そんなに心配しないで」


私は返事をしてローブを羽織り琉聖さんを追おうとすると、身体が不満を漏らす。少し動いただけなのに、動悸が激しくなったのだ。


顔を顰めて動悸を無視し玄関に行くと、琉聖さんはピカピカに磨かれたビジネスシューズを履いている所だった。


「いってらっしゃいませ」


「行ってくるよ」


琉聖さんは振り返り、私の唇に一瞬重ねて出て行った。


玄関のドアが閉まると私は堪えていた動悸と眩暈に耐え切れなくなり、その場にするずると座り込んだ。


怖い……。度重なる身体の不調……。


私は自分の身体を両腕で抱きしめた。






今日は私を急がせるものはなかった。


佳代子さんは真宮のお手伝いさんなので、今日のパーティーの準備でここには来られない。それが幸いして、私はベッドの上で支度の時間までゆっくり休んだ。


早めにシャワーを浴びて支度にかかった。身体に重りが付いたみたいに怠く、支度に時間がかかると思ったから。


今日は完璧に支度をしたかった。琉聖さんや義両親が嫁を誇れるように。


< 252 / 307 >

この作品をシェア

pagetop