契約妻ですが、とろとろに愛されてます
支度が終わった私達はエントランスに着けた車に乗る為にエレベーターに向かった。先ほど琉聖さんからプレゼントされた白の毛皮のコートが頬に当たりふわふわとした感覚に口元が緩む。


「寒くないか?」


カシミアのロングコートを羽織った琉聖さんはエレベーターに乗ると聞いてくる。


「うん、このコートがあるから暖かいよ ありがとう」


エントランスを出ると、桜木さんが待っていてくれた。私達を見ると、車の後部座席のドアを開けて待っている。


桜木さんの動きが私達を見て一瞬止まった。


「何惚けているんだ?俺の奥さんは美しいだろ?桜木」


琉聖さんは不敵な笑みを浮かべて、桜木さんをからかっている。


「きっと今日の出席者の中で一番お美しいと思いますよ」


桜木さんが珍しく饒舌に褒めてくれた。恥ずかしくなった私は、いそいそと後部座席に座った。


******


「柚葉ちゃ~ん! なんて素敵なのかしらっ」


真宮家に到着するとまだパーティーは始まっておらず、貴子さんが私達の元へ来た。


「今日はお招きありがとうございます 今日を楽しみにしていました」


にっこり微笑んで言うと貴子さんが嬉しそうに私の手を取って中へ招き入れてくれる。


いつもは使われていない広い部屋に、大きく華やかなクリスマスツリーが置かれている。可愛らしいオーナメントは外国製のようで、キラキラ光るイルミネーションに見惚れてしまう。

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