契約妻ですが、とろとろに愛されてます
点滴が効き、先ほどの苦痛の表情が今は無くなっている。


「食事が途中だっただろう?何か果物でも食べるか?」


「ん……」


食べないと体力がどんどん無くなっていく。


「リンゴが食べたい……」


俺たちの後ろに待機していた看護師が口を開いた。


「私が持ってきます」


柚葉の部屋で寝泊まりしている看護師が部屋から出て行った。



看護師はリンゴをすったものを持ってきた。


俺はそれを受け取ると、柚葉の口にスプーンを運ぶ。


柚葉はゆっくり咀嚼し飲み込む。


「どうだ?食べられそうか?」


「美味しい……これなら食べられる」


俺は皿の中のたいした量でないリンゴが徐々に無くなっていくのが嬉しい。


このままでは柚葉はどんどん体力が無くなり悪化していく……。


俺は不安を抱えながら柚葉をしばらく見ていた。

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