契約妻ですが、とろとろに愛されてます
俺は柚葉が目を覚ますのをじっと待っていた。


この朗報を早く教えてやりたい。


拒絶反応はやってみなければわからない。


このまま死を待つよりやってみて欲しい。


ただし、治療は酷い苦痛を伴うだろう。


皆の為に……俺の為に……頑張って欲しい。


*****


柚葉の頭が少し動いて、すぐ側でイスに座っている俺の目と目が合った。


「ゆず、気分は?」


「ん……」


俺はあまり良くはないのだろうと思った。


だが、この朗報を聞けば気力が戻るはず。


「ゆず、良い知らせだ。ドナーが見つかったんだ」


「みつ……かった?」


喜ぶかと思っていた俺だが、予想に反して柚葉は当惑した表情になった。


「ゆず?」


柚葉は俺から視線をスッと逸らした。

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