宛名の無いlove letter
砂の丘
私は今、砂丘にいる。



見渡す限り一面、真っ白な砂の海。



太陽の位置により、砂山の頂から半分が濃いシャドウとなり、立体的なフォルムを演出している。


その見事なフォルムに優しく触れ、そっと波紋を起こす。


サラ …サラサラ…


小さな波紋は流れ出し、逆流する様に上昇しながら広がり、山の頂まで登りつめ、新たなフォルムを生み出す。



粒子が細かさが、この滑らかな波紋をアシストしているんだ。



さまよう様に歩いていると、下の方に大きな水たまりが見える。


湖以下の浅いもの。


下に降りて見つめた。


透明と青の真ん中。太陽光が砂に反射し、外から内から煌めきを帯び、見た事のない明度を存在させる。


風にそよぐ以外、何ひとつ乱れる事のない水面。穏やかな神秘がそこにはあった。



私は抑える事を放棄し靴を脱ぎ捨て、足を入れた。


水の温度が、足に伝わる。


あぁ、…ぬるい。



地球のぬくもり。



足だけで感じるだけでは足りない。もっともっと、


感じたい。



私は生まれたままの姿になり、身を浮かべた。



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