恋愛、友情。ときどき涙。2
……昔から音羽と俺は1セットとして扱われることが多かった。
俺といったら音羽で
音羽といったら俺で
一緒にいることが多かったし、そういう風に見られるのも仕方ないとは思ってた。
……あの時、沢木は俺の顔を見ながら何を見ていたのだろうか。
俺が……音羽のことを好きだったから……だから目の前にいる自分より音羽のことを心配して当然だって?
……そんなわけないのに。
違うのに。
あの時、俺の視界に入っていたのは沢木だけで……紛れもなく心配していたのは沢木だったのに。
『なぁ、海斗。矢崎ってさー』
『あのね、杉山。
音羽がね――』
俺に話しかけてくる奴らも音羽に関する話題が多かった。
俺がアイツとの付き合いが一番長いから。
一番よく知ってるから。
だから……。
……でも、違う。
本当は……俺の中から音羽が消えないから。
ずっとアイツに対する想いだけが虚しくも残ってしまっているから――
だから、アイツらは俺の顔を見ながら音羽の姿を垣間見る。
あの時……沢木は何を思って俺を見ていたのか……。
その瞳に何が映し出されていたのか……。
……俺ははっきりさせないといけない。
ズルズルとこんな気持ちを引きずってはいけない。
早く……抜け出さないといけない。
……でも、俺にとってはそれが一番難しいことなんだ。