君のところへあと少し。

11

好きで知らん顔してるわけじゃない。

言えるものなら言いたい。


でも28年生きてきて、人生上手くいかないことのが多いと学んだ。

特にハルは勘違いが酷い。

小さい分、みんなに可愛がられる。
それは、小さな犬や猫が可愛がられるのと似ていて。
好きかと聞かれたら「別に」と、答えられてしまうような、軽い感情なのに。
好かれていると勘違いしひとり撃沈、ひとり玉砕、となるのだ。


それが怖くて。

ひとり傷付くのが嫌で。
殻に閉じこもってしまったのだ。

奏はああ言うが、ナリの気持ちはわからない。


わからないから、進めない。


ため息しか出ない毎日、朝の海がハルにとっては大切な時間だったのだ。






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